第15回業績賞(2025年度)
| 分類A.理論を重点とするもの: | 2 |
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[受賞者] 三井斌友(名古屋大学 名誉教授) [項目] 微分方程式の数値解法に関する先駆的研究および応用数理学の発展に対する貢献 [業績概要] 三井斌友氏は,微分方程式の数値解法を中心とする数値解析分野において,我が国を代表する研究者の一人であり,常微分方程式(ODE),遅延微分方程式(DDE),確率微分方程式(SDE)という応用数理学の中核的課題に対し,理論的に体系化された安定性解析の枠組みを確立してきた。その業績は,新規解法の提案にとどまらず,数値スキームが原方程式のダイナミクスをいかに忠実に再現すべきかという本質的問題に正面から取り組み,国際的標準となる理論的基盤を構築した点に最大の特色がある。 とりわけ遅延微分方程式に対する研究は先駆的であり,一般化P安定性(GP-安定性)などの概念を導入することで,ルンゲ=クッタ法や線形多段法の安定性を厳密に評価する理論を打ち立てた。中立型DDEを含む広範な問題に対する安定性解析は,制御工学や生命科学など応用分野における数値計算の信頼性を保証する理論的支柱となっている。また,確率微分方程式の数値解法に関しても,平均二乗安定性(MS安定性)の体系的解析を行い,長時間計算における漸近安定性条件を明確化した研究は,SIAM Journal on Numerical Analysis に掲載され国際的に高く評価されている。これらの成果は,確率的ダイナミクスを扱う計算科学の発展に決定的影響を与えた。 さらに教育・普及面での貢献も顕著である。著書『常微分方程式の数値解法』は大学院教育における標準的教科書として長年広く用いられ,数値解析の理論的思考を次世代に伝えてきた。また,Hairer–Wanner らの名著の翻訳・監訳や,近年の著書『Numerical Analysis of Ordinary and Delay Differential Equations』の刊行により,国際水準の研究成果を体系的に発信している。加えて,日本応用数理学会会長や英文誌 JJIAM の編集委員長,あるいはICIAM Officer-at-largeを務めるなど,国際的学術交流と学会運営にも多大な貢献を果たした。 以上のように,三井氏は微分方程式の数値解法に関する理論的深化と国際的発信を両立させ,日本の応用数理学の基盤形成と国際的地位向上に決定的役割を果たしてきた。その長年にわたる卓越した業績は,日本応用数理学会業績賞に極めて相応しいものである。 |
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[受賞者] 山田道夫((公財)国際高等研究所・副所長、京都大学・特任教授・名誉教授、東京大学・名誉教授) [項目] 応用数理における非線形力学系理論の確立と乱流・流体力学への先駆的応用 [業績概要] 山田道夫氏は,応用数理学,とりわけ非線形力学系理論を基盤とした乱流・流体力学の数理解析および数値解析の分野において,長年にわたり国際的に卓越した研究成果を挙げてきた研究者である。その業績は,理論的深化と応用的展開を高い次元で統合し,応用数理学の発展に本質的な貢献をなすものである。 特に特筆すべきは,乱流の本質的構造を波数空間の力学として捉える「シェルモデル」に対し,リャプノフ解析やカオス理論といった非線形力学系の先端的手法を導入し,乱流を力学系の観点から解析する新たな研究潮流を切り拓いた点である。この研究は,従来の統計的スケーリング理論中心の枠組みに突破口を与え,乱流研究に理論的ブレークスルーをもたらしたのみならず,その後の国際的研究の基盤モデルとして広く用いられるに至っている。 さらに,ウェーブレット解析を乱流や気象現象の解析へ世界に先駆けて応用し,多重スケール構造を空間的局在とともに抽出する方法論を確立した功績も大きい。関連成果は学術論文のみならず,著書『応用のためのウェーブレット』として体系化され,さらに国際的百科事典への寄稿を通じて広く普及した。これらは応用数理の方法論的基盤を拡張し,他分野との学際的連携を強力に推進するものであった。 また,回転球面上の2次元乱流の全球的数値実験により,帯状ジェットの自発的形成機構を初めて明確に示し,惑星大気における大規模構造形成の理論的基礎を築いた業績は,地球流体力学のみならず,非線形自己組織化現象の数理的理解に大きな影響を与えている。加えて,微小生物の流体力学において「帆立貝定理」に対する一般形での厳密証明を与え,生物流体力学の数学的基盤を確立したことも高く評価される。 教育・学術振興面においても,多数の博士人材を育成し,国際ワークショップFDEPSを長年主導することで分野横断的研究ネットワークを構築した。さらに,京都大学数理解析研究所所長や本学会理事,日本流体力学会会長等の要職を歴任し,応用数理学および関連分野の発展に多大な貢献を果たしてきた。 以上のように,山田氏の業績は,非線形力学系理論の確立とその乱流・流体力学への先駆的応用を通じて,応用数理学の理論的深化と学術的基盤強化に決定的役割を果たしたものであり,日本応用数理学会業績賞に極めて相応しいものである。 |
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| 分類B. 応用を重点とするもの: | 該当無し |
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