第4回業績賞 (2014年度)

分類A.理論を重点とするもの: 2

[受賞者]

田端正久(早稲田大学)

[項目]

「流体の運動方程式に対する実用的な有限要素法の開発とその数学理論の確立」

[業績概要]

田端氏は、非定常移流拡散方程式のための風上有限要素法を開発し、その安定性と収束性を数学的に証明した。さらに、このアイデアをナヴィエ-ストークス方程式に応用し、複雑な領域に対応しやすいという有限要素法の特性を生かしながら高レイノルズ数の流れを安定に解くことを可能にした。これによって有限要素法の流れ問題に対する応用は飛躍的に拡大した。最近では特性曲線法を使ったナヴィエ-ストークス方程式の数値解法の研究においても、有用なアルゴリズムの開発と同時にその収束証明を与えることに成功し、世界をリードする研究を発表し続けている。こうした田端氏の研究は日本応用数理学会業績賞にふさわしいものである。

[受賞者]

森正武(京都大学名誉教授), 杉原正顯(青山学院大学), 大浦拓哉(京都大学)

[項目]

「二重指数関数型数値積分法の創始と実用化に至る発展の先導」

[業績概要]

森氏は高橋秀俊氏と共同で二重指数関数型数値積分法を開発した。これは、非常に独創的かつ有効な数値積分法で、その有効性の理論的な背景も同時に森氏は説明を与えた。これに対してその精緻な理論解析を杉原氏は行うとともにsinc近似等へ拡張した。また、大浦氏は標記積分公式に基づく高精度数値積分ソフトウエアを開発すると同時に振動型積分についても公式の適用範囲を拡張した。以上のように二重指数関数型積分公式は、極めて独創的な公式の提案から始まり、高度な理論への発展、そして実用的なソフトウエア開発と周辺領域の展開に至るまで、日本人が本質的な貢献をしたたぐいまれな例となっている。こうした三氏の研究は日本応用数理学会業績賞にふさわしいものである。

分類B. 応用を重点とするもの: 該当無し