第7回業績賞(2017年度)

分類A.理論を重点とするもの: 該当無し
分類B. 応用を重点とするもの: 1

[受賞者]

萩原一郎(明治大学)

[項目]

「計算科学・数理科学援用折紙工学の創設と展開」

[業績概要]

萩原氏は、日産自動車在籍時1990年代初頭に、有限要素法による大規模衝突シミュレーション技術の開発など、シミュレーション分野で顕著な業績を挙げ、数多くの賞を受賞した。東京工業大学に転じて後、日産時代に自らが開発し現在も使用に供されている優れた部材である「アコーディオン型圧潰モードを有する衝突エネルギー吸収材」の技術的な未解決問題を克服するために、野島武敏氏により提案されていた折紙の工学的応用に着目した。そしてその可能性を、数理科学、計算科学と融合させる視点から徹底的にかつ精力的に追求し、「反転ねじり型折り紙構造」の発明、「折紙プリンタ」や「折紙工法」の開発を初めとする多くの注目すべき業績を挙げ、その過程を通じて多くの後進を育ててきた。野島氏によって提唱された折紙工学は萩原氏によって大きく発展し、体系化した工学の一分野として確立しつつあり、今では日本のみならずアメリカや中国をはじめとする多くの国で研究がすすめられている。萩原氏は日本応用数理学会に「折紙工学研究会」を創設し、多くの国際会議や国内会議を主宰し、文字通り、世界の代表として折紙工学を牽引してきてきた。このような萩原氏の研究と諸活動の実績は日本応用数理学会業績賞を贈るに相応しいものとして高く評価されるべきものである。