研究部会連合発表会優秀講演賞(2016年)

日本応用数理学会では、研究部会連合発表会の講演登壇者から優れた発表をした方を、「研究部会連合発表会優秀講演賞」受賞者として表彰しています。
2016年は、以下の方が受賞されました(敬称略、50音順)。
表彰式は、総会において行われます。

受賞者 受賞講演について
神吉雅崇
(かんき まさたか)
(関西大学システム理工学部数学科)

[講演題目]

非可積分系に対応した2変数離散方程式

[講演概要]

発表者らは、離散力学系の可積分性判定基準の精密化および、複雑さの定量的な理解の研究に取り組んでいる。本講演では、特異点閉じ込めテストには通るが、次数が指数増大する離散系をquasi-integrable系と呼び、今まで知られていなかった、2次元格子状のquasi-integrable系の例を紹介し、この系のco-primeness条件を証明した。さらに、得られた系を直線上へ退化させることで、1次元quasi-integrable系の系列を得た。この系列は有名なHietarinta-Viallet方程式とその拡張系を含む。

三澤亮太
(みさわ りょうた)
(京都大学大学院情報学研究科複雑系科学専攻)

[講演題目]

2次元Helmholtz方程式のwaveguide問題における複素固有振動数の計算法について

[講演概要]

2次元Helmholtz方程式のwaveguide問題の固有周波数(漏洩モードを含む)をGreen関数を用いた積分方程式とSS法を用いて求める。従来実数の周波数では見かけの固有値がないと考えられてきた種々の定式化も、複素数の範囲では見かけの固有値を有することがある。本講演では、複素数の固有周波数を正しく求める方法を示し、求まった固有周波数と遠方場の関連を数値例により示した。

谷口隆晴
(やぐち たかはる)
(神戸大学大学院システム情報学研究科計算科学専攻)

[講演題目]

自動離散微分とその応用

[講演概要]

最急降下法などの最適化手法では目的関数の微分値が用いられ、それを求める方法として自動微分が知られている。一方、これらの最適化手法には散逸型微分方程式の離散化により得られるものも存在する。そこで用いる離散化法としては散逸性を保つものが望ましいが、本発表では、そのような方法の一つである離散勾配法で用いられる離散勾配を、自動微分法と同様に計算するアルゴリズムを提案し、その機械学習への応用を示した。