研究部会連合発表会優秀講演賞(2021年)
受賞者 | 受賞講演について |
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大古 一聡 (おおこ かずさと) (東京大学工学部計数工学科) |
[講演題目] Spanner-based Approach to Spectral Sparsification of Hypergraphs [講演概要] グラフのスペクトル疎化は様々なアルゴリズムの研究に関わる重要なテーマであり,近年はハイパーグラフへの拡張が注目されている.我々は,有向ハイパーグラフに対し辺数が頂点数の2乗オーダーとなる初の疎化手法を与えた.このレートは集中不等式と数え上げを用いた証明により導かれ,下界と概ね一致する.提案アルゴリズム自体はグラフスパナーを用いたグラフ疎化に着想を得たシンプルな手法で,同様のアイデアが無向ハイパーグラフの場合にも適用可能である. |
桒島 史欣 (くわしま ふみよし) (福井工業大学工学部) |
[講演題目] レーザーカオスのモードの同時性による閾値付近での安定性 [講演概要] カオスは,時系列は不安定でも,統計的平均が安定であり,構造安定性を有している.やっかいものであったカオスを活かすことで,⾼安定THz 波発⽣に応⽤できる⽅法論(道筋)を創出した.レーザー閾値付近も含む安定性,基礎⽅程式による同時性を示した.THz 波は 6Gでも着⽬される重要な電波資源であるが,安価で高安定な THz 波⽣成ができておらず産業上の意義も⼤きく,他分野へのカオス応用の可能性も開拓した. |
榊原 航也 (さかきばら こおや) (岡山理科大学理学部応用数学科/理化学研究所数理創造プログラム) |
[講演題目] バイドメインモデルにおける解の漸近挙動の数値解析 [講演概要] バイドメインモデルは心臓の電気的活動状態を記述する数理モデルであり,電気生理学においてその重要性が認識されている.数学的にはwell-posednessがよく調べられているものの,解の定性的性質はほとんどわかっていない.本研究では,バイドメインAllen–Cahn方程式とバイドメインFitzHugh–Nagumo方程式に対し,解の漸近挙動を詳細に調べるための数値解析手法を構築し,Hopf分岐として現れるジグザグ解,千切れるパルスなどの性質を初めて明らかにした. |
松井 一徳 (まつい かずのり) (成蹊大学理工学部理工学科) |
[講演題目] Navier-Stokes方程式のrotation form に対する数値解法の提案 [講演概要] 移流が支配的な問題に対して頑強な計算手法であるLagrange-Galerkin (LG)法は,時間微分項と移流項の和が物質微分であることを利用する.一方で,Navier-Stokes方程式と同値な表現としてrotation formがあり,離散化した際に良い保存特性を持つ.本講演では,非線形項が前述の移流項と異なるrotation formのためのLGスキームを提案し,誤差評価を与えた. |