第22回 若手優秀講演賞 (2025年度)

受賞者 受賞講演について
遠藤 凌輝
(えんどう りょうき)
(新潟大学大学院自然科学研究科)

[講演題目]

Hadamard 微分の厳密計算による固有値の単純性の解析

[講演概要]

正三角形ではない任意の三角形におけるラプラシアンのディリクレ第2固有値は単純である」というスペクトル幾何学の予想は,2017年にR.LaugesenとB.Siudejaにより提起された.正三角形では対称性から第2・3固有値が一致するため,正三角形の近傍や固有値が発散する扁平な三角形で予想の証明に困難がある.本研究では精度保証付き数値計算を用いた計算機援用証明を導入し,予想を肯定的に解決した.

Kharisma Surya Putri
(カリスマ スリャ プトリ)
(金沢大学)

[講演題目]

ラグランジュ移動メッシュ法

[講演概要]

本研究は,がん細胞凝集が生じるシャープスパイク(適切な空間離散化なしでは数値的に捉えにくい)を動機に,質量保存型ラグランジュ・ガラーキン移動メッシュ法(LGMM)を提案する.節点を流れに整列させ,拡散的項でメッシュ劣化を抑え,適切な時間増分で要素反転を防ぐ.一次元で時間依存補間の評価を含む誤差O(h^2) を示し,多次元へ拡張中.数値シミュレーションにより,解析結果の妥当性と凝集現象の捕捉能力を検証する.

久米 啓太
(くめ けいた)
(東京科学大学工学院情報通信系)

[講演題目]

Gradient mapping型停留点評価基準に基づく近接勾配型アルゴリズムに関する一考察

[講演概要]

本講演では,局所Lipschitz連続な非凸関数と不連続な非凸関数の和からなる非平滑非凸関数を最小化するための近接可変平滑化法を提案する.新たに導入したGradient mapping型停留点評価基準の漸近解析に基づき,提案法の停留点に関する収束保証を与えている.さらに,提案法をロバスト低ランク行列復元問題に応用した復元手法が,従来復元手法を上回る復元性能を持つことを数値実験により確認している.

堀 綾子
(ほり あやこ)
(早稲田大学大学院基幹理工学研究科)

[講演題目]

多成分短パルス型方程式の可積分性を保つ全離散化

[講演概要]

講演では, 多成分複素短パルス方程式への自然な拡張を可能とする新たな形式の多成分短パルス方程式を提案した. 広田の双線形化法を用い, PfaffianによるNソリトン解を導出するとともに, 可積分性を保つ空間・時間両方向の全離散化を行った. さらに,得られた全離散方程式に基づく自己適合移動格子スキームを構築した. 数値解が特異解を含め厳密解と高精度で一致することを確認し,本スキームの数値計算法としての高い有用性を示した.

馬原 凌河
(まはら りょうが)
(東京大学大学院情報理工学系研究科数理情報学専攻)

[講演題目]

不可分な負担の公平かつパレート効率的な配分の存在

[講演概要]

本研究では,加法的コスト関数を持つエージェント間で不可分な負担を配分する問題を扱う.特に,公平性(EF1)とパレート効率性(PO)を同時に満たす配分の存在を示した.提案手法では,KKM補題を用いて各エージェントに対する適切な重みの存在を保証し,その重み付き社会的コストを最小化する配分集合内にEF1かつPOを同時に満たす配分が存在することを明らかにする.