第10回 若手優秀講演賞 (2013年度)

受賞者 受賞講演について
岩本 真裕子
(いわもと まゆこ)
(明治大学大学院 先端数理科学研究科 現象数理学専攻)

[講演題目]

数理モデルを用いた腹足類這行運動メカニズムの解明

[講演概要]

カタツムリやナメクジなどの腹足類が這行運動するメカニズムを解明するために,腹足で観察される筋収縮波の伝播と,腹足から分泌される粘液のレオロジーを記述した1次元バネ質点系数理モデルを提案した. 数理モデルの数値解析により,筋収縮と粘液の動的粘弾性特質の相互作用により移動が実現されることを示した. また,粘液の降伏値や筋肉の柔軟性が運動様式の選択に寄与することを示唆した.

内海 晋弥
(うちうみ しんや)
(早稲田大学大学院 基幹理工学研究科 数学応用数理専攻)

[講演題目]

絶対安定な2次要素特性曲線有限要素法

[講演概要]

特性曲線有限要素法は,流れ問題に対する有力な解法である. しかし,従来のスキームでは合成関数項に数値積分が使われることによって理論で示された収束結果が得られず,また,発散する数値例も存在する. 本研究では,移流拡散方程式のP1,P2有限要素近似に対して,近似流速を用い,厳密に積分を行うことにより,数値積分誤差の影響がない絶対安定なスキームを構成した.

及川 一誠
(おいかわ いっせい)
(早稲田大学理工学術院 基幹理工学研究科)

[講演題目]

P1-P0 要素を用いたハイブリッド型不連続Galerkin法に関する考察

[講演概要]

本講演では,ハイブリッド型不連続Galerkin法の弱安定化スキームを提案し,従来手法より少ない自由度で,最善の収束オーダーを実現できることを示した. さらに,誤差評価と数値計算の結果を示し,提案スキームの有効性を検証した. 弱安定化スキームの P1-P0 要素とCrouzeix-Raviart要素との関連性についても述べた.

平井 洋一
(ひらい よういち)
(産業技術総合研究所 セキュアシステム研究部門)

[講演題目]

形式検証によるコマンド・インジェクション攻撃対策

[講演概要]

コマンド・インジェクション攻撃は,送信者がデータとして埋め込んだ文字列が,受信者によって制御文字列として解釈されて起きる. この,構文生成と構文解釈が一致しない現象を,生成解釈の可逆性で防止する手法を考案した. 定理証明系Coqの上で可逆読み書き器を定義し,可逆読み書き器の演算子である連接・選択・繰り返しが可逆性を保つ十分条件を検証し,例としてSQLのリテラルの可逆読み書き器をモジュラーに実装した.

平尾 将剛
(ひらお まさたけ)
(東京女子大学 現代教養学部 数理科学科)

[講演題目]

球面上の統計的実験計画法と立体求積公式

[講演概要]

実験計画では実験対象の特徴を的確に捉えるために,有限個の観測点をどこに配置するか,また,それら観測値にどれだけ比重を与えれば良いかが問題となる. 本講演では単位球を観測領域とするある統計的最適性を持つ実験計画の構成問題を数値積分法のひとつである立体求積公式の構成問題と捉え直し,新たな構成法を提案した