第12回 若手優秀講演賞 (2015年度)

受賞者 受賞講演について
岩﨑 淳
(いわさき あつし)
(京都大学情報学研究科)

[講演題目]

2冪剰余環上で一筆書きとなる置換多項式の条件

[講演概要]

2冪剰余環上置換多項式は多項式値を高速に計算でき、暗号などに応用が期待できる。それらへの応用では、一般に用いられる写像の周期が長い方が良い。 置換多項式による写像の周期が最大となる(一本の軌道が考えている2冪剰余環上のすべての要素を巡る=「一筆書き」)ような係数の必要十分条件は、低次数の場合を除き知られていなかった。本講演では、軌道の再帰的構造を用いて、それらを一般の次数について明らかにした。

高安 亮紀
(たかやす あきとし)
(早稲田大学理工学術院総合研究所)

[講演題目]

常微分方程式の爆発解に対する精度保証付き数値計算

[講演概要]

本講演では自励的一階常微分方程式系の爆発問題を考え、爆発時刻の厳密な包含を得る数値手法を紹介する。Poincaré コンパクト化と時間に対するスケール変換を行うことで、常微分方程式を正規化することができる。そして我々は精度保証付き数値計算を用いる事で、爆発解の存在に対する数値的検証と爆発時刻の包含を可能にした。

前原 貴憲
(まえはら たかのり)
(静岡大学工学部数理システム工学科)

[講演題目]

P1-P0 予算配分問題のゲーム理論的解析

[講演概要]

どの広告枠にどれだけの予算を投入すれば高い広告効果が見込めるか、という問題はマーケティングにおける重要問題である。この問題は劣モジュラ関数の最大化問題として定式化でき、これまでに多くの成果が得られている。本研究では複数の広告主がいる市場を考え、各々が前述の最適化問題を解く非協力ゲームとして定式化した。アルゴリズム的ゲーム理論に基づく解析により、モデルが純粋ナッシュ均衡をもつことなどを示した。

芳木 武仁
(よしき たけひと)
(School of Mathematics and Statistics, The University of New South Wales)

[講演題目]

Walsh figure of merit(WAFOM)の指数関数のQuasi-Monte Carlo積分誤差による効率的近似計算

[講演概要]

Walsh figure of merit(WAFOM)は、滑らかな関数に対するQuasi-Monte Carlo(QMC)積分の上界として機能する。WAFOMの値は高速に計算できるため、WAFOMの値の(すなわち積分誤差の)小さな点集合Pは計算機を用いた探索で発見できる。本講演では、WAFOMよりも簡素な指数関数の積分誤差でWAFOMを近似し、更なる計算量の減少を実現する。