若手の会単独研究会
- 日程
- 2011年12月26日(月)
- 会場
- 早稲田大学 西早稲田キャンパス(理工キャンパス) 63号館03会議室
本文 | 若手の大学・企業研究者による発表です.参加費無料となっております. ふるってご参加のご検討をお願いします. |
プログラム |
10:30~10:40 開催にあたって 若手の会 幹事長・主査 片桐孝洋(東京大学) ■セッション1(座長:中田真秀 (理化学研究所)) 10:40~11:10 タイトル:複素対称行列の固有値問題に帰着する分子の諸現象について 講演者:安池智一(分子科学研究所) 概要: 量子化学がこれまで主に対象としてきた孤立分子の電子状態の問題は,エルミート(もしくは実対称)行列の固有値問題に帰着する. 一方で,近年重要度を増してきた環境と相互作用する分子の電子状態においては,複素対称行列の複素固有値に対応する電子状態(Siegert状態)が重要な役割を果たす. 講演では話題提供として,近年講演者が扱ってきたSiegert状態が関与する分子の諸現象について述べ,数十万次元の複素対称行列の数百固有値およびそれらの固有ベクトルを求めることに強いニーズがあることをお知らせしたい. 11:10~11:40 タイトル:Multiple Kernel Learningの効率的計算法と統計的性質について 講演者:鈴木大慈(東京大学情報理工学系研究科) 概要: 本講演では,機械学習における教師あり学習法の一つであるMultipleKernel Learning (MKL) について発表する. MKLはLassoやGroup Lassoを含む広い枠組みであり,凸最適化によって複数のカーネル関数を取捨選択・統合する学習方法である. コンピュータビジョンやバイオインフォマティクスといった分野に応用され,従来の単一カーネルによる学習より良い性能を示すことが報告されている. 本発表では,MKLの高速な計算手法やその統計的な性質について紹介する. 11:40~12:10 タイトル:ウイルス感染と常微分方程式 講演者:岩見 真吾(九州大学大学院理学研究院/JSTさきがけ) 概要: 近年,ウイルス学における臨床・動物・細胞実験から得られたデータは,数理モデルを用いて頻繁に解析されるようになってきた. これら実験データの解析では,ウイルス感染ダイナミズムにおける様々なパラメーターを推定することで,通常のウイルス学的解析手法からは,知り得ない定量的情報を得ることが可能になるからである. ここでは,まず,ウイルスダイナミクスを記述する基本的な微分方程式系を紹介し,その安定性,及び,背後に存在する力学的構造を概説する. そして,ウイルスダイナミクスを特徴づける指標を定式化し,実際にウイルス感染実験データから推定されたこれらの値がウイルス疾患研究においてどのような役割を果たすのかをいくつかの例を交えて紹介していく. これまで日本の数学モデリングは,生物学などに使われている数理モデルを材料にして数理的に解析するという事を行ってきた. しかし数理モデルに表され・ 仮定されている量を測定して,数理モデルが実際の状況で記述力を持ち・予測力を持つ事を実証する事は,数理科学として極めて重要な研究であり,応用数学の未来を切り開くものである. 私は,この様な研究が達成されると,自然科学の多くの分野,特に,医学分野において,応用数学や数理科学的アプローチの有用性が確立されていくと考えている. 昼食:12:10~13:30 ■セッション2(座長:緒方隆盛(NEC HPC事業部)) 13:30~14:00 タイトル:スパコン耐故障101~エクサスケールにむけて 講演者:實本英之(東京大学情報基盤センター) 概要: スーパーコンピュータ上で利用されてきたシステム耐故障技術の全体的な紹介と,今後エクサスケールに向けてのアプリケーション・システムソフトウェアの耐故障技術トレンドについての紹介. 14:00~14:30 タイトル: SR-IOVを用いた仮想化マシンにおける10Gbps通信時のCPU使用量評価 講演者:澤 勇太(日立製作所 中央研究所) 概要: 計算リソースの確保が容易であるというメリットから,計算環境としての仮想マシンの利用が一般的になりつつある. しかし仮想マシンを用いた通信では,通常の計算機におけるデバイスドライバの処理に加え,NICやスイッチといったハードウェアのエミュレーションにもCPUを使用する. 特に10Gbps等の高速通信時は,通常の計算機で0.6コア分のCPU使用量だったのに対し,仮想マシンでは16コアにも及び,CPU使用量の増加が問題となる. 本問題に対し我々は,NIC及びスイッチの動作のエミュレーション処理を,SR-IOVと呼ばれるハードウェアにオフロードし,CPU使用量の削減を狙った. SR-IOV利用時のCPU使用量を実測で評価したところ,10Gbps通信時のCPU使用量が1.5コアまで削減された. 14:30~15:00 タイトル:エクサスケール・コンピューティングのための応用数理,コンピュータサイエンス,アプリケーション分野の研究者による共同設計に向けて 講演者:片桐孝洋(東大) 概要: エクサスケールコンピューティングを実現するためには,コンピュータサイエンス主体ではなく,アプリケーション(サイエンス)主体でコンピュータシステムの機能設計をすることが重要であるといわれている. 本講演では,コンピュータサイエンスとアプリケーション分野の協調に加え,応用数理分野の研究者も協調して機能設計に加わる必要性があることを述べる. 応用数理分野の観点から,エクサスケールコンピューティングを実現するための要求要件について検討する. 休憩:15:00~15:15 ■セッション3(座長:谷口隆晴 (神戸大学)) 15:15~15:45 タイトル : 粒子法による表面波の伝播計算 講演者: 風間 正喜 (富士通株式会社) 概要 : SPH法などの粒子法はメッシュを必要としない計算手法であり,表面波など移動境界を伴う問題に多く適用されている. しかしながら,粒子法で表面波の伝播計算を行うと, 波高が減衰することが知られている. そこで, 我々はSPH法のアルゴリズムに改善を行い減衰を抑える手法を開発したので報告する. 15:45~16:15 タイトル:局所スペクトルによる大自由度力学系の動態解析 講演者:○寺本 央,戸田 幹人,小松崎民樹(北海道大学) 概要: 本講演では,局所スペクトルという概念,および,そのスペクトルを時系列から定義されるGreen関数の極として抽出するアルゴリズムを提案する. 時系列の局所的なスペクトルを抽出するための従来法(Window Fourier, Wavelet, Laplace)等と比べ,我々の方法論は経験的パラメータを含まないこと,および,振動的な自由度だけではなく,指数的増大,減少あるいは冪的な運動も取り出すことができる点が優れている. この我々の方法論を水中でのたんぱく質等の大自由度力学系に適用することにより,その局所スペクトル及びそのスペクトルを構成している自由度を抽出する. 休憩:16:15~16:30 ■セッション4(座長:荻田 武史 (東京女子大学)) 16:30~17:00 タイトル:マルチコアクラスタ環境における拡張階層型領域間境界分割に基づく有限要素アプリケーションのOpenMP/MPIハイブリッド並列化 講演者:林雅江(東京大学情報基盤センター) 概要: 有限要素解析の並列化には領域分割法が広く採用される. 階層型領域間分割は,ILU前処理において領域外からの演算も考慮できるよう領域を分割する並列化手法であり,その拡張版である拡張階層型領域間分割では,コネクタとよばれる領域間境界の厚みを拡張することで,フィルイン付きILU前処理おいて領域外からのフィルインを考慮可能とする並列化手法である. 本研究では,階層型領域分割に基づく並列化手法を,MPIを用いるノード間並列とOpenMPを用いるノード内並列に適用し,マルチコアクラスタ(T2K/東大)におけるMPI/OpenMPハイブリッド並列実行を行った. ノード内並列には従来手法として広く利用されているマルチカラー法を用いた場合も実装し,並列性能および収束性について手法間での比較を交え報告する. 17:00~17:30 タイトル:MapReduceにおける複数機械学習の最適化 講演者:玉野浩嗣(NECサービスプラットフォーム研究所) 概要: 機械学習では,ハイパーパラメータのチューニングなどでパラメータを変えながら複数回の学習を必要とする. これら複数回の学習は多くの時間を必要とする. 本発表では,複数学習をMapReduceクラスタで行う場合に,実行時間を最小化するジョブの割り当て方法を提案する. 17:30~ 終わりの言葉 若手の会 副幹事長・幹事 荻田武史(東京女子大学) 18:00~ 懇親会@早稲田大学周辺 |
懇親会について |
懇親会(予定予算:5000円程度)に参加ご希望の方は,以下のフォーマットを用いてメールにて
2011年11月28日(月)までに
ご連絡ください. 12月12日追記: 懇親会参加〆切は過ぎましたが,参加予定の方は至急ご連絡ください. ---------------------------- To:ozaki__AT__sic.shibaura-it.ac.jp 件名:JSIAM若手の会懇親会申し込み票 懇親会参加票 12月26日開催の早稲田大学における JSIAM若手の会の懇親会に申し込みます. お名前: ご所属: 備考:企業等の方で領収証が必要な場合(宛名:) ---------------------------- |
お問い合わせ先
片桐孝洋
e-mail: katagiri__AT__kata-lab.itc.u-tokyo.ac.jp