研究集会

待ち行列研究部会

投稿者
豊泉 洋(早稲田大学)
関連性
一般
日程
2022年7月16日(土) 14:00~17:00
概要
ありふれて見られる「待ち行列」などの現象の数学を深く探究する研究者が集まる研究会です。
「待ち行列研究部会」(7月16日(土))の開催案内をお送りいたします.
(会場等詳細は、下記のページにも記載しています。https://orsj.org/queue/)

「待ち行列研究部会入門」として,都立大学副学長の山下英明先生,同じく都立大学の会田雅樹先生にご講演をお願いしています.
待ち行列研究部会では,巷にありふれて見られる「待ち行列」をキーワードに,現実世界でいかに役に立つのかという視点で,
さまざまな確率的な現象の数学を深く探究する研究者が集まっています.
その研究領域は,通信,ネットワーク,サービス産業,生産システム,物流,金融工学をはじめ,さまざまな分野にわたり,
また,確率過程,マルコフ過程,点過程,ネットワーク理論など,多様な数学の理論を掘り下げて研究しています.

今回は,特に
・待ち行列や確率に関する研究を始めたばかりの学生,
・待ち行列の手法に興味のある研究者,
・確率的な現象の数学に興味のある研究者,
・待ち行列の手法の応用に興味のある実務家,
など,今まで待ち行列研究部会の活動に参加していなかった方々にも,待ち行列研究部会での研究活動を知っていただけるように,
待ち行列の基本的な手法からその応用研究まで面白い話を講演者に用意していただくことができました.

周囲に待ち行列の研究に興味のある学生や研究者がいれば,ぜひお誘い合わせの上参加ください.
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第304回 「待ち行列研究部会」
日時:令和4年7月16日 14:00~17:00
場所:ハイブリッド (オンライン&早稲田大学国際会議場 第3会議室)

■ オンライン参加の方へ:
オンラインで参加される方は,以下の URL より参加登録をお願いいたします.
https://us02web.zoom.us/meeting/register/tZMkceitqzgrEt2ty_ENVB7X-6iMipcy3BNH

テーマと講師
1.簡単なマルコフ解析でできる待ち行列モデルの評価
山下 英明(東京都立大学)
本講演では,簡単なマルコフ過程やM/M/1待ち行列を学んだ経験のある初学者を対象に,簡単なマルコフ解析で評価できる待ち行列モデルの例を紹介する.
まず,コールセンターの例を用いて,サーバの多重化の効果と逆効果を検証する.サーバを多重化すると平均待ち時間や呼損率は減少することが多いが,
客の仕事量の分散が大きいときは,多重化しないで仕事量によって担当するサーバを分類した方が,平均待ち時間や呼損率は小さくなる.
このことを数値例によって示し,この場合の客への効率的なサーバ割り当て例を提案する.
次に,未処理の仕事量を状態にとったマルコフ解析例を紹介する.一般に,待ち行列解析に用いるマルコフ連鎖は,客の人数を状態にとることが多いが,
未処理の仕事量を状態にとることにより,GI/GI/c待ち行列等の性能評価が可能となる.
この考え方を用いて,バーストの到着間隔とバースト長がともに独立で同一の分布に従う漸増入力待ち行列モデルのマルコフ解析が可能であることを示す.

2.フェイクニュースとその訂正記事の相互作用から考えるトイレットペーパー買い占め事件
会田 雅樹(東京都立大学)
今日のネット社会において,フェイクニュースは深刻な問題となっており,その影響はオンラインソーシャルネットワークにとどまらず.
現実の社会活動にも影響を与えている.その対策として,直観的には,フェイクニュースの内容を訂正する正しい情報を発信することが効果的だと考えられる.
しかし,皮肉なことに,訂正情報の発信によってフェイクニュースへの関心が集まり,状況が悪化する事例が報告されていて,
COVID-19の流行初期に起こったトイレットペーパー買い占め事件はその代表例とされている.効果的なフェイクニュース対策を考えるためには,
フェイクニュースと訂正情報の相互作用を理解する必要がある.本発表では,フェイクニュースと訂正情報の相互作用を反応拡散系としてモデル化し,
訂正情報がフェイクニュースの影響を深刻化させてしまうメカニズムを説明する枠組みを考察する.
この枠組みにより,ネットワーク構造に全く偏りがなくても,フェイクニュースに強く影響されたユーザーグループの出現を説明することができる. 

場所

ハイブリッド(オンライン&早稲田大学国際会議場 第3会議室)

お問い合わせ先

豊泉 洋
Eメール:toyoizumi__AT__waseda.jp

詳細web

https://orsj.org/queue/