セミナー

東大数値解析セミナー (UTNAS)

投稿者
齊藤 宣一 (東京大学大学院数理科学研究科)
関連性
一般
日程
2023年 5月16日(火)16:30-18:00
概要
清水雄貴先生に「基本解近似解法によるPlateau問題の数値解析」をご講演いただきます

東京大学大学院数理科学研究科と情報理工学系研究科では,本年度も数値解析セミナーを定期的(月に1,2回程度)に開催致します.
多くの皆様のご参加をお待ち申し上げます.

講演者
清水 雄貴(東京大学大学院数理科学研究科)

題目
基本解近似解法によるPlateau問題の数値解析

概要
針金の形状を変えずとも,異なる形状の石鹸膜が張られることがある.
それでは,針金の形状から,それが張る石鹸膜の形状には何種類あるか特定できないだろうか.
Jordan閉曲線がどのような形状であれ,それを境界とする極小曲面は少なくとも一つは存在する.
一方,境界の全曲率が4π以下であるなど,形状に関する十分条件が満たされる場合には,解の一意性が従う.
解が複数ある場合には,安定な極小曲面やgenericには解は有限個であるが,そうでない場合には解の有限性自体が難問であり,具体的な個数が得られているのは,現状では特定の境界に関する場合のみに限られている.
このように,境界形状と解の個数の関係性は極小曲面の幾何解析学において困難だが重要な問題の一つとして位置づけられている.
こうした状況を鑑み,数値計算によりその関係性を見出すことが期待される.
極小曲面を何らかの汎函数の最適化問題の停留点として数値的に求めることを想定すると,与えられたJordan閉曲線を境界にもつ,全ての極小曲面を計算するには,(1)最適化問題の初期値に応じて,異なる極小曲面に収束し,(2)無作為かつ多数の初期値に対する収束極限が得られるほど高速で,(3)それらを区別できるほど高精度な,数値解法が必要となる.
本講演では,基本解近似解法を用いることで上記三点を達成する数値解法を提案し,その収束誤差解析を行う.
また,いくつかの数値例を通じて,境界形状と個数の関係性について論じる.
本研究は榊原航也氏(金沢大学)との共同研究に基づく.

参考文献:K. Sakakibara and Y. Shimizu, Numerical analysis for the Plateau problem by the method of fundamental solutions, preprint (arXiv:2212.06508)

場所

東京大学大学院数理科学研究科 002室・オンラインのハイブリッド

お問い合わせ先

氏名:齊藤 宣一(東京大学大学院数理科学研究科)
Eメール:norikazu__AT__g.ecc.u-tokyo.ac.jp

詳細web

https://sites.google.com/g.ecc.u-tokyo.ac.jp/utnas-bulletin-board/?pli=1