研究部会だより
「数理設計」研究部会の紹介
2019年10月08日
片峯 英次
かたみね えいじ
岐阜工業高等専門学校 機械工学科
研究部会「数理設計」は,主に,機械・土木・建築等の設計問題に利用される数値解析において,最適化あるいは逆解析の機能を考慮した研究活動に対して,交流の場を提供するために,2005年2月の準備会と位置付けた研究集会を経て設立されました.
本研究部会では,上記の最適化や逆解析を考慮した設計問題に対して,大学関係者と産業界の方々が交流する場として,これまでに,毎年9月の年会および3月の研究部会連合発表会においてオーガナイズドセッションを開催しています.また毎年12月頃に,チュートリアル,先端研究紹介,事例紹介を交えた話題提供を目的とした研究集会を開催しています.これらのオーガナイズドセッションや研究集会で取り上げられてきた主なテーマは,次のような内容です.
(1) 境界値問題が定義された領域の形状と位相の最適化問題および同定問題
(2) 波源推定問題,損傷同定問題
(3) 形状・位相最適化理論の製品設計への応用
(4) 医用工学分野に関連した設計問題への応用
2005年の本研究部会設立から2010年度以前の活動については研究部会便り[応用数理 Vol.21 No.3] を,また2014年度以前の活動については,2015年3月14日公開の記事 [https://jsiam.org/online_magazine/news_presentations/3499/] を参照していただくこととして,本稿では2015年度以降から最近における主な活動について紹介させていただきます.
[組織体制の変化]
これまでの畔上秀幸先生(名古屋大学),代田健二先生(愛知県立大学),松本純一氏(産業技術総合研究所),片峯(岐阜工業高等専門学校)の4名に加えて,2018年度より新たに,倉橋貴彦先生(長岡技術科学大学),中澤嵩先生(大阪大学)が幹事として参加しております.倉橋先生は,主に特異応力場あるいは流れ場等に関する数値解析や逆解析を研究対象とし,中澤先生は,主に安定性を考慮した流れ場の形状最適化等を研究対象とされています.新たな幹事の加入により多くの方々の交流が活発となって,本「数理設計」研究部会における研究内容の拡大や,新たな研究分野の開拓を期待したいと願っています.
[ソフトウェアセミナー『最適設計の数理とその実践』を開催]
2018年2月に,研究部会「産業における応用数理」が主催したソフトウェアセミナー『最適設計の数理とその実践』に対して,本研究部会「数理設計」が共催という形で協力させていただきました.このソフトウェアセミナー「最適設計の数理とその実践」は二日間の終日にわたって行われ,講師は本研究部会を設立し代表を長年務められてきた畔上先生が担当されました.内容としては,数値解析で使われる数値モデルをそのままの自由度で形状を最適化するための理論とアルゴリズムに対する解説,さらには実際の製品設計への応用例やFreeFem++を用いた具体的なプログラムの紹介が行われました.
[第20回研究集会]
2018年12月に第20回目となる研究集会が開催されました.20回目という節目の研究集会ということで4件の招待講演を企画し,また2件の一般講演を含めて合計6件の講演がありました.機械・土木・建築等のみでなく,数学理論や医用工学分野への応用を含めた幅広い分野の話題提供があり,活発な議論が交わされました.
今後も「連続体力学の数理」,「産業における応用数理」など他の研究部会や,また研究者のみではなく,産業界の技術者等を含めた多くの方々との交流を深めていきたいと考えております.本研究部会についてより詳しく知りたい方は,下記の研究部会ホームページを是非ご覧下さい.