研究部会だより

「産業における応用数理」研究部会について

2015年05月02日

櫻井 鉄也

さくらい てつや

筑波大学

本研究部会は、産業における数理に関わる共通の問題点を把握し、これらの問題に対して有効な手法を、企業や研究所、大学等の研究者の分野横断的な協力の下で見いだすことを目的とし、2013年4月に設立されました。また、本研究部会は、産業界の競争力強化に資する数理を目指し、産学双方の会員間の連携を促進する場としての役割を果たすことも併せて目的としています。上記の設立目的を達成するために、応用数理と実問題の研究者が既存の分野や業種間の壁にとらわれないで問題解決に向けて議論をする場として、年3回程度の研究会を開催しています。

研究部会設立の準備段階から現在までの約2年間に、3月の研究部会連合発表会9月の年会の他、3回の単独研究会およびソフトウェアセミナーを開催しました。研究会での講演者は主に企業研究者で、企業や研究機関の研究者を中心に延べ48件の講演を頂きました。

これまでの研究会での講演内容の一部をタイトルのみ列挙すると、各企業で実際に行われている大規模シミュレーションに関するもの

  •  『Voxel法による3次元半導体形状シミュレーションと容量計算における計算技法の紹介』
  •  『高速鉄道における車輪・レール間の動的接触解析』
  •  『質量分析システムの最先端創薬・診断への応用』

の他に、ソフトウェア開発に関するもの

  • 『「京」における数値計算ソフトウェア整備について』
  • 『オーダーN法第一原理計算プログラムCONQUESTの開発と応用計算』
  • 『Industrial applications with Scilab』

や、産業応用の取り組みに関するもの

  • 『スーパーコンピュータ「京」の産業利用事例』
  • 『ノンパラメトリック構造最適化技術の産業応用』
  • 『数理技術研究と産業応用の取り組み』

など産業と応用数理をキーワードに多岐にわたります。また、日本応用数理学会2013年研究部会連合発表会において、『応用数理から見た次世代スパコンの開発と利用』と題してパネルディスカッション(モデレータ:今村俊幸 理化学研究所、パネリスト:片桐孝洋 東京大学、藤澤克樹 中央大学、秋葉博 アライドエンジニアリング)を行ったほか、2015年2月に『ソフトウェアセミナー:FreeFem++で学ぶ現象と数理』と題して有限要素法解析ソフトFreeFem++のソフトウェア講習会を開催しました。これまでの研究会の参加者数(メーリングリストに登録して頂いた方)は132名です。

今後の活動計画として、これまでに引き続き年3回程度の研究会の開催、日本応用数理学会の他の研究部会と連携をとり、有限要素法、メッシュ生成、各種ソフトウェア(MATLAB、線形計算ライブラリ)などの企業研究者向け講習会の開催を予定しています。また、平成26年度に発足された「ものづくり企業に役立つ応用数理手法の研究会」とも密接に連携して活動していきます。

当研究部会に関する情報については部会ホームページ(http://na.cs.tsukuba.ac.jp/acmi/) をご参照下さい。