研究部会だより
「数理設計」研究部会の紹介
2023年03月17日
松本 純一
まつもと じゅんいち
産業技術総合研究所 機能材料コンピュテーショナルデザイン研究センター
研究部会「数理設計」は,主に,機械・土木・建築等の設計問題に利用される数値解析において,最適化あるいは逆解析の機能を考慮した研究活動に対して,交流の場を提供するために,2005年2月の準備会と位置付けた研究集会を経て設立されました.
本研究部会では,上記の最適化や逆解析を考慮した設計問題に対して,大学関係者と産業界の方々が交流する場として,これまでに,毎年9月の年会および3月の研究部会連合発表会においてオーガナイズドセッションを開催しています.また,毎年12月に,先端研究紹介,事例紹介などを交えた話題提供を目的とした研究集会を開催しています.これらのオーガナイズドセッションや研究集会で取り上げられてきた主なテーマは,次のような内容です.
(1) 固体および流体問題における位相(トポロジー)最適化問題
(2) 計算シミュレーションとインフォマティクス技術を連携させた計算手法
(3) 形状・位相最適化理論の製品設計への応用
(4) 医用工学分野に関連した設計問題への応用
2005年の本研究部会設立からの活動報告については応用数理の研究部会便り(Vol.21 No.3),JSIAM Online Magazineの研究部会だより(2015年3月,2019年10月)を参照していただくこととして,本稿では2020年度以降から最近における主な活動について紹介させていただきます.
[組織体制の変遷]
2018年度から畔上秀幸先生(名古屋大学),代田健二先生(愛知県立大学),片峯英次先生(岐阜工業高等専門学校),松本純一(産業技術総合研究所),倉橋貴彦先生(長岡技術科学大学),中澤嵩先生(大阪大学)の幹事6名の組織体制となり,2022年度から畔上先生に代わり竹内謙善先生(香川大学)が幹事になられました.竹内先生は,2005年の当研究部会の発足年より,研究集会などでトポロジー最適化などのご講演をし,ご活躍されていた先生になります.
[研究集会について]
新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)の影響により,2020年と2021年はウェブ開催,2022年はハイブリッド開催で,研究集会を行いました.特に2021年はウェブ開催がこなれてきたということもあり,45名以上の参加人数となりました.近年,AIやインフォマティクスの研究が盛んになり,逆問題の理論として数理設計研究部会で扱われている4次元変分法(随伴法)やカルマンフィルタなどを用いたデータ同化技術も注目を集め,これらの研究が活発になってきていると感じております.
今後も「連続体力学の数理」,「産業における応用数理」など他の研究部会や,また研究者のみではなく,産業界の技術者等を含めた多くの方々との交流を深めていきたいと考えております.本研究部会についてより詳しく知りたい方は,下記の研究部会ホームページを是非ご覧下さい.
http://www-mmds.sigmath.es.osaka-u.ac.jp/faculty/personal/Jsiam/