学術会合報告

「SIAM Conference on Parallel Processing for Scientific Computing 」の参加報告

2018年09月04日

寺尾 剛史

てらお たけし

芝浦工業大学大学院理工学研究科

2018年3月7日から3月10日までの4日間、早稲田大学の西早稲田キャンパスにてSIAM Conference on Parallel Processing for Scientific Computingが開催されました。本会議は並列アルゴリズムや大規模並列アプリケーション、並列計算機システム等の国際会議となります。SIAMは、応用数理分野における世界最大規模の国際学会であり、今回は700人超の研究者が参加したそうです。今回私は、SIAMの国際会議には初めての参加で、その規模の大きさに驚かされるばかりでした。また、運営のサポートとしてセッション係をさせて頂きました。このように学会の運営のサポートをすることも初めての経験であり、学会発表の緊張と相まって今まで参加した学会で一番緊張しました。また、著名な先生方も多く参加されており、普段は本や論文等でしか目にしない方々を拝見できました。特に、いつも読んでおり、研究室では黒い本と呼ばれているAccuracy and Stability of Numerical Analysisの執筆者Nicholas J. Higham先生やHPC分野で非常に有名なJack Dongarra先生を直接拝見できたときは興奮しました。講演数も非常に多く、ミニシンポジウム(MS)が126セッション、Contributed Presentation(CP)が15セッションおよびポスター発表が行われました。そのため、様々な研究分野を知ることができ、またアブストラクトを読むことが面白く、次にどの講演を聞くか選べることも、大規模な学会の面白い点の一つだと思います。中には1講演毎に部屋を移動している方もいらっしゃいました。

セッションはHPC分野を主体に、解析から実装に至るまで多岐の分野にわたり、日頃耳にしない他分野の講演を聞くことができました。また、分野だけではなく各座長が設けられた時間を自由に使いセッションを進めていました。中には座長が不在のまま始まることや、休憩時間を取らずに議論を行うセッションがあり、セッション係をしていた私は、しばしば混乱していたことを覚えています。また講演数が多い分、問題発生も多く、例えばディスプレイにスライドが投影されないことや出力の端子がUSB Type-Cのみしか用意していない場合などがありました。このような問題が同時に起こってしまう場合もあり、終始緊張しながらセッション係を務めていました。興味の惹かれる講演も多くあり、個人的に興味を持った講演は、3月7日に行われた早稲田大学の大石進一先生によるVerified Numerical Computation and Large Scale Computingでした。この内容は、私の研究内容に非常に近く、その問題点や応用に関する話もあり、非常に勉強になりました。今回はセッション係をしていたため、聞くことのできなかった発表も多くありましたが、スーパーコンピューティングに関する講演を聞くことで、現在の数値計算における最前線を感じることができました。総合的に、多分野の発表を聞くことで、研究の視野が広がり、今後の研究に対するモチベーションが高まりました。

最後に本会議に参加して魅力的だった点として取り上げたいのが食事です。今回は、2回のレセプションと1回のバンケットが催されました。特に3月9日に行われたバンケットは椿山荘で行われ、非常に豪華な会でした。食べ物をはじめ、日本の伝統芸等の催し物もあり、終始非常に楽しむことができました。海外の方にも日本食は好評で、寿司や麺類は特に人気があったように思います。また、美味しい食事とお酒も相まって様々な研究者が活発に意見交換を行っていました。8日にはレセプションとポスターセッションが並行して行われ、とても明るい環境で様々なポスターを拝見させて頂きました。さらに、昼食でも豪華なお弁当が4種類販売されており、今半のお弁当やお寿司を楽しむことができました。また、昼食をとれる大きなスペースも設けられており、とても賑わっていました。

本会議に参加して、会場の設置から運営や食事、バンケット・レセプション等で様々な工夫や努力を感じました。それらにより、学会発表では非常に緊張しましたが、4日間を通して大変充実したものとなりました。また、セッション係を経験させていただき、勉強になることもたくさんありました。たくさんの素晴らしい経験を与えてくださった先生方、運営スタッフの方々に感謝を申し上げます。