学術会合報告

International Workshop on Numerical Methods for Partial Differential Equations 参加報告

2018年07月24日

千葉 悠喜

ちば ゆうき

東京大学大学院 数理科学研究科

2018年3月26日から28日の3日間にかけて,香港理工大学において「International Workshop on Numerical Methods for Partial Differential Equations」が開催されました.本稿はその参加報告です.
今回のワークショップは,愛媛大学の土屋卓也先生の還暦をお祝いするとともに,日本と香港の研究者,特に若手同士の交流を行うという土屋先生の希望により,環瀬戸内ワークショップの一環として開催されました.講演者も,筆者も含めて日本,香港どちらも若手研究者が多いようでした.

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初日(26日)の集合写真

筆者にとって本ワークショップは,昨年のEASIAMに次ぐ2回目の,海外での英語講演の機会でした.何度も練習したのにも関わらず,講演では言葉に詰まったり,逆に早口になりすぎたりした点もありました.また,質疑応答では,質問者の英語の意図がつかめなかったり,質問に対して適切な回答がうまく英語でできなかったりと,筆者の英語力が不足していることがわかりました.今後,研究を続けていくにあたって英語力の方も鍛えていく必要があることを痛感しました.
その点において,日本からの講演者の発表は過去に日本語で聞いたことがある話題も多く,同じ内容を英語でどのように表現しているかということを学ぶ機会にもなりました.
香港の講演者の講演の中で印象に残っているものとして,構造保存型の数値計算の手法についての複数の講演があげられます.そのうちの1つが,喬中華先生の非局所Allen-Cahn方程式について,方程式の持つ性質である最大値原理に注目した数値計算についての講演で,安定化項を加えたExponential Time Differencing法を用いることにより,安定化パラメーターの条件のみで離散最大値原理を満たす数値計算スキームを導出したというものでした.筆者は不連続Galerkin法の構造保存型数値計算に興味があり,今後の研究の参考にしたいと思いました.また,非整数階微分を含む方程式の数値計算に関する講演も複数ありました.筆者は非整数階微分やその数値計算について知らないことが多く,良い勉強になりました.

26日の夜には懇親会が行われ,参加者全員で土屋先生の還暦をお祝いしました.27日の午後は会場が他の予定で利用できないため自由行動となりました.筆者は所属研究室の関係者とともに香港島の観光に行き,夜はビクトリア・ピークの展望台から香港の夜景を眺めました.霧のためあまり視界がよくありませんでしたが,良い景色を見ることができました.

ワークショップや懇親会の間で複数回土屋先生からの挨拶がありましたが,日本と香港の研究者の交流について何度も話されていました.今年6月に東京大学にて行われるEASIAMに李步扬先生を招待するという話もあり,今後の交流がより盛んになるものと思われます.筆者も,香港だけでなく他国の研究者との交流を深めつつ,今後の研究を行っていこうと思います.

最後になりましたが今回の場を作ってくださった土屋先生に感謝と還暦のお祝いを申し上げます.