学術会合報告
2018 A3 Fluid Mechanics Workshop 参加報告
2018年06月13日
中井 拳吾
なかい けんご
東京大学大学院 数理科学研究科
東京大学大学院数理科学研究科博士2年の中井拳吾と申します. 2018年3月9日から11日まで, 杭州(中国)で第3回 A3事業ワークショップ「渦力学と特異な流体運動の数理」が開かれました. 一元札の裏側に描かれている西湖のほとりにあるHangzhou Jinxi Hotelが会場であり, 都会の喧騒からはなれた自然に囲まれたところでした. 筆者をはじめ日本から10名程度が参加する機会を得ました. この場を借りて, ご報告させていただきます.
筆者は, A3のメンバーとして「渦力学と特異な流体運動の数理」に参加しました.このA3プロジェクトは, 日本(拠点機構:東北大学,研究代表者: 西浦廉政教授, 実施機構:日本学術振興会), 中国(拠点機構:北京大学, 研究代表者: Pingwen ZHANG教授, 実施機構:中国国家自然科学基金委員会), 韓国(拠点機構:仁荷大学, 研究代表者:Hyeonbae KANG教授, 実施機構:韓国研究財団)の3か国が連携して研究拠点を構築することを目的としているものです. 毎年個別のテーマごとに行う研究集会と全体会議に相当する年会が行われており, 今回報告するものはこの研究集会に相当するものです.
今回の研究集会では日中韓から合計で30名以上も集まり, 15ほどの講演が行われました. “渦力学”と“流体運動”がテーマということで血流や羽ばたく羽周辺のシミュレーション, 不連続ガラーキン法をはじめとしたスキームの話など様々な分野の講演があり, 非常に興味深いものばかりでした. 私と同年代の方も講演されていましたが, 他の先生方と遜色ない研究内容と発表姿勢に驚きを覚え非常に刺激を受けました.
それらの講演の中で, 私が特に興味をもったものはYue Yangさんの講演“Evolution of vortex-surface fields in the transition of wall-bounded flows”でした. 壁付近での流れを数値シミュレーションしたものなどの紹介をされており, 壁に沿う流速の違いによるはく離角度についての考察が印象に残っています. また, 壁からはく離した流れが渦巻き状の流れに変化していく様子についてその後の議論により具体的に伺うことができたので, 自身の今後の研究に役立てていきたいです.
浙江大学での夕食会では料理やお酒をはじめとして中国流のおもてなしがなされました. 非常にスパイシーなものがあり驚く料理もありましたが, おいしい料理ばかりでした. 私は中でも東坡肉が印象に残っています. また, この食事会を通じて皆が国を超えて交流を深めていたように思います. 私自身Jinhae Park教授をはじめとして多くの研究者と交流することができました. 講演中には消化しきれなかったことなどをより詳細に聞くきっかけとなりました. また, 私自身の研究に対する助言をしていただくなど非常に有意義な機会となりました.
最後になりますが, お忙しい中準備に尽力してくださった世話人の皆様に心より御礼申し上げます. また, 会場のスタッフや懇親会の設置や雑務など本研究集会を陰で支えてくださった方々に深く感謝申し上げます. また, 私をこのような研究集会に呼んでいただいた坂上教授にこの場を借りて御礼申し上げます. 今後も本研究集会, ひいては日中韓の研究が益々発展することを祈って本稿を終えたいと思います.