学術会合報告

応用数学フレッシュマンセミナー2017参加報告

2017年12月05日

清水 雄貴

しみず ゆうき

京都大学 大学院理学研究科

 京都大学理学研究科修士2年の清水雄貴です.本稿では,2017年11月11日(土)に行われた,応用数学フレッシュマンセミナー2017の参加報告を行う.
 応用数学フレッシュマンセミナーは京都大学応用数学セミナーの特別企画として,昨年から行われている研究集会である.オープニングで開催者の坂上貴之教授(京都大学)から次の言葉をいただいた.
 「この研究集会の目的は,研究の詳細を聞いてもらうというよりは,お互いの研究についてざっくばらんに講演を行う,いわば自己紹介をすることであり,学位を取った若手研究者にとっては,同世代の研究者の去年からの進捗状況を把握する機会になれば幸いである.また年末の応用数学合同研究集会よりは,自由に講演をする場として,将来的には若手研究者同士の共同研究につながることを願って企画した.」とのことであった.
 筆者にとっては初めて研究集会で講演を行ったのが,昨年のフレッシュマンセミナーであった.その時の詳細については,草野元紀氏による熱気あふれる参加報告があるので,興味のある方は一読を勧めたい.なかでも筆者にとって印象に残っている講演の一つに,非常に短い時間であるけれども,講演者の研究内容の要点を端的に伝えた講演がある.その講演を聞くやいなや,筆者は自身の研究への応用を直感し,その後の懇親会で少し相談し,共同研究を申し出た.それ以来,その講演者には個人的に大変お世話になりながらも,その共同研究は順調に進展している.こうしたこともあり,筆者にとってフレッシュマンセミナーは大変思い入れのある研究集会の一つとなっている.
 今年のフレッシュマンセミナーでは,朝9時半から夕方16時20分までの一日がかりで,昼過ぎに助教のセッションを挟んだほかは,主として学年順に講演が行なわれた.初めのセッションでは修士の学生による講演であった.初々しさによる独特の緊張感に包まれながらも,十全に講演練習を積んできたと思われる講演や,研究の全体像を把握しきれていないものの,懸命に講演を行うといった意欲的な講演も見られた.また講演後の質疑応答で,今後の研究の展開に関する指針を提案するコメントがあり,学生の指導に携わるのは指導教員だけではなく,コミュニティ全体が一丸となって,研究室の枠組みを超えて学生の指導を行うということを実感した.
 一方で同じ研究室ならではの強みを生かした講演もあった.「箙の表現」「パーシステントホモロジー」というキーワードでは,同じ研究分野でありながらも,異なる視点からの応用を指向した研究として,位相データ解析の理論の汎用性を再認識させられた.「不連続Galerkin法」というキーワードでは,初めに基本的な背景の導入に関する講演があり,その後に続く講演も講演者同士の研究の関係性や視点の相違点を明らかにした内容であったため,筆者にとっては初めて触れた概念であったものの,その概要をつかむことができた.さらにどの質問も講演内容の急所をつくものであったため,さらに理解を深めることができた.
 「自由に講演する」という点では,「お客様の声」とそれに対する「回答」という形で,想定される研究の問題点とその対応をコミカルに伝える講演や,単に先行研究を箇条書きにするのでなく,講演者の研究の経緯を物語調に伝える講演は印象的であり,「魅せる講演」の一端を垣間見た.
  このように今回のフレッシュマンセミナーにおいても,研究内容だけでなく,講演の技法としても学ぶことが多かった.