学術会合報告

日本応用数理学会2017年度年会(@武蔵野大学)報告

2017年12月05日

友枝 明保

ともえだ あきやす

武蔵野大学

2017年9月6日~8日の三日間,日本応用数理学会2017年度年会が武蔵野大学有明キャンパスで開催されました.本年会では,総合講演2件,部会OS 35セッション,正会員主催OS 13セッション,一般講演14セッションにポスター講演40件,さらに,講習会「FreeFem++での開発と利用」や若手/女性研究者にとっての情報交換の場としての「若手・女性研究者ランチミーティング」と,正会員の皆様から多くの企画をご提案いただいたおかげで大変充実したプログラムを実現することができました.年会における全講演数は219件(ポスターや総合講演を除く)で,参加者数は522名にものぼり,1991年からスタートした年会の歴史の中で最大の参加者数となりました.

ここでは,実行委員会を代表しまして,準備から年会終了までを振り返りながら年会に関する報告をさせていただきたいと思います.

 

遡ること1年前の6月.総会にて2016年度の年会担当理事を拝命し,最初の任務は年会の開催日程と懇親会も含めた会場調整でした.2016年度の年会の懇親会で日程と会場についてアナウンスを行う必要がありましたため,1年以上前から動く必要があり,会場については他の資格試験等と重ならないように大学と調整を行い,日程については数学会や物理学会をはじめとした10程度の応用数理学会会員が関係する主要な学会の事務局に電話をかけ,既に日程が決まっている学会については,そこを避ける形で年会の日程を決定しました.9月に入り小倉で開催された2016年度の年会では,会場の様子をふまえて翌年の会場設営の打ち合わせや必要物品の確認,ブース展示の企業担当者にご挨拶をさせていただき 2017年度の出展もご検討いただくようお願いする,などを行い,翌年に向けての準備を少しずつ進めておりました.12月には,第一回のWGを開催し,役割分担の確認や予算,スケジュールの共有を行いました.実行委員会を構成するにあたっては,母体となる武蔵野大学工学部数理工学科が小さな所帯であるため,本学で非常勤講師を務めていただいている先生方にも加わっていただきました(委員長/薩摩順吉,委員/三村昌泰,上山大信,渡辺知規,阿部修治,西川哲夫,木下修一,友枝明保,山中卓,松家敬介,八島亮子,佐藤紀志雄(以上武蔵野大学),山中脩也(明星大学),田中健一郎(東京大学),榊原航也(東京大学)の各氏).年会の予算については,2016年度の年会報告の後に調整を始めましたが,武蔵野大学側から会場費を無料にしていただけるというサポートが得られたため,比較的ゆとりを持った予算配分を行うことができました.実行委員会内では,儲けることが目的の年会ではないから余らせるのではなく参加費を下げてはどうか,という声もありましたが,翌年以降の年会で再び参加費を戻す可能性もありその場合は増額となるためやりにくいのではないかということから,金額設定は例年通りとし,黒字分は学会へ戻すことで学会運営のサポートにもなるであろうということで落ち着きました.2017年のGW明けには申し込みも始まりいよいよ本格的に始動します.多くの講義に追われる合間で,各先生方で分担して年会で利用する物品購入やアルバイト学生さんの手配,ケータリングやお弁当の調整などを進め,各種締め切り後には,プログラム作成や予稿集作成に追われながら年会初日に向かって進んでまいりました.

 

9月6日,いよいよ年会当日です.年会初日の朝は受付で大渋滞が発生すると身構えておりましたが,受付の流れの一部をシステム化できたことや人の動線がなるべく混乱しないように皆様からのアドバイスで適宜修正を行えたことで,何とか渋滞緩和も実現できました.さて,年会のプログラムでは,初日は,6会場に分かれてのパラレルセッションに加えてポスターセッションも行われ,ポスターセッションでは参加者の投票により1件の最優秀ポスター賞と3件のポスター賞が選出され,翌日の懇親会にて表彰されました.二日目は,午後には表彰式や総合講演,懇親会が行われ,総合講演では,梅原雅顕氏(東京工業大学)「特異点の微分幾何学-3次元時空の極大曲面をテーマにして-」,三村昌泰氏(武蔵野大学)「微小重力環境下でのすす燃焼の現象数理学」のご講演がありました.懇親会では125名(招待者を除く)もの皆様にご参加いただき,佐古会長,西本学長,関連学会として日本シミュレーション学会佐藤会長,日本計算工学会山田副会長,のご挨拶に始まり,論文賞受賞者やポスター賞受賞者の挨拶,ICIAM誘致に成功された背景を早稲田大学の大石先生/柳澤先生に決め手となったであろう点を交えてご紹介いただきました.会の後半には,来年度の年会の実行委員長である名古屋大学の畔上先生から翌年の紹介があり,薩摩実行委員長からのお言葉で閉会となりました.最終日もパラレルセッションで進んでおりましたが,その中でも,正会員主催OSの戸田格子50周年の会場では,学術的にはもちろんのこと戸田先生のお人柄までをも感じることができるエキサイティングなご講演が並んでおり,会場内では立ち見が出るほど多くの方にご出席いただき,三日間通して,大変盛況のうちに閉幕となりました.

 

現在は年会も終わりまして,理事の年会に関する最後の任務として,年会の収支報告の書類作成を進めているところです.小さい所帯でこのような大きな会を実現できましたことは,ひとえに年会にご参加いただきました皆様,ご支援いただきました皆様のおかげと感謝しております.特に,中口理事と事務局の皆さまには大変多くの面で貴重なアドバイスを頂戴しましたこと,改めて感謝申し上げます.ありがとうございました.

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ポスターセッションの様子
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総合講演での会場の様子
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懇親会での佐古会長のご挨拶
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懇親会での西本武蔵野大学学長のご挨拶