学術会合報告

Equadiff2017参加報告

2017年10月24日

宮本 安人

みやもと やすひと

東京大学

Equadiffについて

2017年7月24日から28日まで,スロバキアの首都ブラチスラヴァにあるスロバキア工科大学でEquadiff2017が開催された.この研究集会は,2年ごとに西欧の国と東欧の国で交互に開催される.

前回の2015年はフランスのクロード・ベルナール・リヨン第1大学で開催され,次回は2019年7月8日から12日の日程で,オランダのライデンで開催かれる予定である.

今回の参加者は371人で,日本の研究機関に所属する研究者は49人であった.前回の2015年は552人,日本から来た参加者は43人であった.

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写真1: 旧市街と聖マルティン大聖堂(正面),ドナウ川(右)

ブラチスラヴァについて

ブラチスラヴァはスロバキアの首都でありながら,オーストリアとの国境沿いに位置している.ブラチスラヴァにも空港はあるのだが規模は小さく便数が限られるため,通常はオーストリアのウイーン国際空港から,バスか電車で移動することになる.空港からブラチスラヴァに電車で行く場合は,乗り換えが必要となり,時間とお金がかかるため,バスが便利であると現地の先生に教わった.ウイーン空港からブラチスラヴァまでは直線距離約40km,バスで1時間,運賃は片道5ユーロであった.

オスマン帝国が強かった時代は,ハンガリー王国は領土を大幅に割譲させられ,ブダペストから約160km北西にあるブラチスラヴァがハンガリーの首都であったそうだ.オーストリア・ハンガリー帝国の実質的な皇帝マリア・テレジアも一時期ブラチスラヴァ城を居城として使用しており,町は栄えた.

ブラチスラヴァを訪れる観光客が集まるのは,ブラチスラヴァ城と旧市街である.市内を散策したが,城は丘の上にあり,旧市街とドナウ川をよく見渡せる絶景スポットであった(写真1).旧市街は,石畳の路地と歴史ある建物から成り,観光客向けのレストランやお土産屋が軒を連ねていた.中でも聖マルティン大聖堂は,ハンガリーの首都であった時代に,ハンガリー国王(女王)の戴冠式が行われた由緒ある大聖堂である.中を少し拝見したが,シンプルなデザインで荘厳な雰囲気であった.

ブラチスラヴァの人口は約42万であり,中心部の規模はそれほど大きくない.博物館やお店などに入らなければ,徒歩2~3時間程度で,城と旧市街を見て回ることができる.

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写真2: 全体講演が行われた会場

今回のEquadiffについて

午前中は全体講演(1件50分)が1日に3件(写真2),午後は9つのパラレルセッション(1 件30分)に分かれていた.5日間で,全体講演は15件,午後の講演は327件であった.

内容は主に偏微分方程式の数値解析と数学解析であり,どちらの専門であっても楽しめるようになっていた.ちなみに全体講演は,数値解析が7件,数学解析が8件で,ほぼ同数であった.

初日の夜はポスターセッションが行われた.驚いたことは,時間が20時から24時に設定されていたことだ.参加者には地元のビールとおつまみが振る舞われた.22時頃になると参加者の一人がアコーディオンを持ち込み,その音楽に合わせて他の参加者が踊り出すなど陽気な雰囲気となり,24時になってもかなりの人数が残っていた.その曲の中に,筆者にとっては小学生の頃に聴いたテトリスのBGMとして思い出深いロシア民謡「コロブチカ」があり,生演奏を聴くことができ感慨深かった.旧共産圏どうしの縁であろうか?

最終日の前日の夜に,懇親会が行われた.民族衣装を纏ったスロバキアの中高生が伝統的な踊りを披露してくれた.懇親会の途中から,壇上から降りて参加者と一緒になって踊ったり,伝統的な遊びに興じたりした.筆者は恥ずかしくてとても踊る気にはなれなかったが,その場に居た知人の某氏に,この報告を書く話題作りのためにと無理矢理連れ出され(という体裁をとって)スラブ系の綺麗な女性と手を繋いで踊ってしまった.ありがとう.Yさん!