学術会合報告
講習会「オープンCAEを用いた構造解析の実践」開催報告
2017年06月06日
片岡 一朗
かたおか いちろう
(株)日立製作所 研究開発グループ 機械イノベーションセンタ 高度設計シミュレーション研究部
「産業における応用数理」研究部会,「メッシュ生成・CAE」研究部会,「数理設計」研究部会,「連続体力学の数理」研究部会が共催で,「オープンCAEを用いた構造解析の実践」の講習会を2017年2月20日(月)に筑波大(東京キャンパス)にて実施した。
今回の講習会には,講師として東洋大学の藤岡 照高先生と江澤 良孝先生をお迎えし,初めて有限要素法に触れる人を対象とした,基本的な有限要素法の解説と,オープンCAEであるSalome-Mecaを用いた解析を体験する,ハンズオン実習を実施頂いた。最初に,江澤先生より有限要素法の原理と最近のCAEに関する話題についてご紹介頂いた。その後,藤岡先生より,Salome-Mecaのインストールの説明,及びSalome-Mecaを用いた構造解析の実行プロセスについてご説明頂いた。Salome-Mecaは,フランスの電力会社EDFが開発した構造解析ソルバーCode_Asterを内包する統合的解析ソフトウェアで, Linux OS上で動作し,市販商用CAEソフトウェアに匹敵する高機能を備えている。時期が2月ということもあり,参加人数は10名程度と少なめであったが,参加者からの質疑応答が活発に行われ,オープンCAEに興味を持って頂けたように思う。
企業では,ものづくりの設計や開発現場において,コンピュータ技術を活用した製品の設計や製造,工程設計の事前検討を行うことや,それを行うためのツールであるCAEを如何に使いこなすかが課題である。CAEでは,固体の変形をはじめ,熱伝導,流体など,コンピュータ上で現象を解明するための物理シミュレーションを実行することが可能であり,近年はソースコードが公開され,無償での利用が可能なオープンCAEが注目されている。
本講習会では,実習とオープンCAEの動向や今後のCAE研究に関する話を聞くことができ,大変有意義な時間となった。今後も,応用数理学会内でのオープンCAEのPRなどを行うことができればと考えている。
最後に,講習会の会場のご準備等,ご協力頂いた櫻井 鉄也先生と今倉 暁先生に感謝いたします。