学術会合報告
日本応用数理学会2016年度年会報告
2016年12月18日
丸野 健一
まるの けんいち
早稲田大学 応用数理学科
9月12日から14日まで福岡県北九州市小倉にあります北九州国際会議場にて2016年度日本応用数理学会年会が開催され,外国からの参加も含め464名の参加登録者があり無事に終了いたしました.実行委員長は早稲田大学の大石進一先生が務められまして,実行委員会は早稲田大学,東京女子大学,芝浦工業大学,明星大学,筑波大学の教員で構成されました.以下に,2016年度年会の様子についてご報告させていただきます.
年会開始前日の11日にはウェルカムイベントとして,小倉港から門司港までチャーター船でクルーズを楽しみ,門司港を散策後,ザ・モントンテラス門司港にて夕食を満喫いたしました.小倉に到着すぐに北九州市の素晴らしい歓待を受け北九州の素晴らしさを実感した後,12日から北九州国際会議場で年会の講演が始まりました.総合講演セッション1件,OSセッション51件,一般講演セッション13件,ポスターセッション1件が3日間に渡り6つ並行して開かれる形でプログラムが組まれ,総合講演2件,口頭講演236件,ポスター講演30件がありました.各セッションで最新の研究成果が報告され,活発な質疑応答が繰り広げられ大変盛り上がりました.特に,今回はオーストラリア,ニュージーランドの応用数学系学会であるANZIAMとJSIAMの特別合同セッションが応用可積分系分野と応用力学系分野で開催され,3カ国の応用数学者たちの間で活発な研究討論がなされ大成功に終わり,今後もJSIAMとANZIAMの交流を続けて両学会の協力関係を築いていこうという話に発展しました.学会1日目の夜には,軽食(?)を食べながらの和やかなムードの中,早稲田大学理工学研究所主催「精度保証付き数値計算ワークショップ」が開催され,夜遅くまで精度保証付き数値計算をめぐって熱い研究討論が繰り広げられました.
学会2日目の午後には,北九州国際会議場メインホールにて,九州大学数理学研究院の金子昌信先生による総合講演「楕円モジュラーj-関数 ― 三幅対の夢」と北九州市産業経済局大川博巳企業誘致(特命)担当理事による総合講演「未来を拓く 北九州市から地方創生の成功モデルを」が企画され,専門分野を超えて楽しめる興味深い話を聞くことができました.総合講演終了後にはICIAM2023誘致活動について京都大学数理解析研究所の岡本久先生からのご報告がなされ,その後,イベントホールでポスターセッションが開かれ,会場は活発な討論による熱気で満ち溢れました.優秀ポスター賞については,今回は参加者に投票用QRコードが配布され,会場に設置されたパソコンを使って投票する形となりました.その投票結果に基づいて最優秀ポスター賞2件,優秀ポスター賞7件が選ばれ,懇親会で受賞者が発表されました.
学会2日目の夕方にはリーガロイヤルホテル小倉にて懇親会,表彰式が開催されましたが,北橋健治北九州市長にもかけつけていただき,ご招待の総合講演者,論文賞受賞者,オーストラリア,ニュージーランドからの参加者と共に折尾神楽保存会による折尾神楽を楽しみながら豪華な食事に舌鼓を打ち,研究分野を超えて懇親を深めることができました.懇親会の最後に武蔵野大学の薩摩順吉先生から2017年度の年会が武蔵野大学有明キャンパスで開催されることが発表され,武蔵野大学有明キャンパスの紹介ビデオが上映されました.武蔵野大学有明キャンパスは非常に美しく,次回の年会も快適な環境の中で応用数理に関する最新の研究発表・討論に浸ることができそうです.
学会3日目も夕方まで講演がぎっしりと詰まって大いに盛り上がった後,夕方にエクスカーションが企画されました.まずは,緑溢れる庭園とアール・ヌーボー調の洋館を持つ国指定重要文化材旧松本家住宅(西日本工業倶楽部)で豪華な夕食を堪能し,その後,北九州市の「100億ドルの夜景」を見下ろすことができる皿倉山に登り,美しい夜景を眺めながら3日間に渡った学会での疲れを癒すことができました.
今回の年会ではウェルカムイベントやエクスカーションなどの様々なイベントが企画され専門分野を超えた参加者間の交流がいつも以上に活発に行われ大変充実したものになりました.これは北九州市の関係者の方々の強力なサポートによるもので,この場を借りまして北九州市の関係者の方々に厚く御礼申し上げます.また,最後になりましたが,今回の年会のご支援をいただいた学会関係者の方々,ご参加いただいた方々にあらためて感謝の意を表し,年会報告を終わります.