学術会合報告
EASIAM2016 in Macau
2016年09月16日
田中 一成
たなか かずあき
早稲田大学 基幹理工学研究科
マカオ大学は地図上では中国広東省に位置している。しかし、法律や、インフラ、通貨等は全てマカオのものが適用され、そこだけがマカオの租借地のようになっている。キャンパス周辺は堀と海で囲まれているため中国本土側からは入れない。マカオからキャンパスに向かう際にパスポートの提示などは必要なく、海底トンネルを通じてバス、タクシーなど通常の交通手段で行くことができる。
マカオ大学はやたらと広かった印象である。Map上で簡単に測ってみると、メインストリート側で1.7kmもある。面積は(ラフな見積もりであるが)およそ107万㎡。私が日頃お世話になっている早稲田大学西早稲田キャンパスがおよそ4.5万㎡なのでとんでもなく広く感じる。ちなみ日本で最も広いキャンパスは九州大学伊都キャンパス(262万㎡)である。
初日6/20は快晴、気温 33℃と立っているだけで汗が吹き出るほどであった。タクシーで正門まで向かい会場を目指す。会場案内がなかったためメイン棟内の警備員さんらしき人に道を尋ねた。会場までは幸いにしてそう遠くなかったが、敷地内の床が白を基調としているため、照り返しでものすごく暑い。
私は計算機を用いて偏微分方程式の解の存在性をその定量的な情報と共に証明するという研究をしている。今回は存在が証明された解に対して、その正値性を検証する方法論について報告させて頂いた。私が最初に口にしたのは「私は苗字と名前を逆に登録してしまいました。ごめんなさい。」であった。真面目な雰囲気だった会場から笑いが起きた。座長のRoger Hoskingさんが気さくに話しかけてくれた。「そうか君はMr.KazuakiじゃなくてMr.Tanakaだったのかhahaha」と。
私がその日の最後の発表者であった。発表後に帰りの支度をしていると1人の西洋人が話しかけてきてくれた。私の研究に興味をもってくれたらしく、発表内容について詳しく知りたいので論文のコピーをくれないかということであった。データを渡した後もしばらく会場で研究の話をしていた。途中から彼はドイツ人であることが分かった。実は私がドイツ語を勉強しており趣味でもあったため、さらに話が弾み、気がつけば1時間以上は話していたように思う。彼から私の研究が活かされ得る偏微分方程式に関する未解決問題をいくつか教わった。彼の名前はPiotr SkrzypaczでカザフスタンのNazarbayev大学に助教として勤めている。
マカオの人々は非常に親切であった。会場からホテルに戻る際の交通手段に困っているとマカオ大学の学生(多分学部生)がすぐに助けに来てくれた。 タクシーがなかなか捕まらないので、わざわざタクシー会社に電話をしてタクシーを呼んでくれた。彼の名前を伺わなかったのを未だに後悔しているが、顔ははっきりと記憶している。彼らが日本に来ることがあれば恩返しをしたい。
マカオでは基本的に英語は通じない。どのレストランに入っても英語が通じることは稀で、中国語を話せない場合は筆談が日本人にとって最も現実的なツールとなる。右の写真はマカオで最も気に入った料理の1つで、アヒルの照り焼きのようなものである。ベタな描写であるが皮はパリパリ、肉はジューシーの典型であり、ビール(青島)に最高に合う。レストランの外側から北京ダックのようなものがガラス越しに吊るしてあるのを見て入店した。案の定英語は全く通じなかったが、店員さん達は皆嫌な顔など全くせず、最大限に私達の伝えたいことを理解しようとしてくれた。この店の体験だけで言えば、愛想は日本のそれ以上だったように思う。私は最終日にも一人でリピート入店している。
最後にこのような素晴らしい機会を与えて下さった運営スタッフの方々に改めて感謝を申し上げる。