学術会合報告
INVA2014@Tokyoの参加報告
2014年06月15日
関根 晃太
せきね こうた
早稲田大学 応用数理学科
2014年3月15日から17日の3日間にかけて,精度保証付き数値計算法とその応用に関する国際ワークショップINVA2014@Tokyo(The international Workshop on Numerical Verification and its Applications 2014)が開催されました.INVA2014@Tokyoは講演24件のうち12件の招待講演であり,非常に有意義な講演が目白押しでした.また,学生の講演も私を含めて5件あり,研究内容についてコメント頂く良い機会となりました.講演内容は一口に精度保証付き数値計算といっても機械四則演算,連立一次方程式,常微分方程式,偏微分方程式とあり,改めて幅広い分野であることを実感しました.そこで,各講演についていくつか紹介したいと思います.
1日目から様々な講演がありました.例えば,Rump先生の機械四則演算における内積の新たな事前誤差解析,荻田先生のスパース行列を係数に持つ連立一次方程式の解の高速な精度保証付き数値計算法,Hashemi先生の行列の平方根の精度保証付き数値計算法など有限次元問題に対する精度保証付き数値計算法に関する講演から,小林先生の非凸領域における有限要素解の誤差評価などの無限次元問題の講演まで幅広くありました.私も稚拙ながら連立偏微分方程式の解の精度保証付き数値計算法について講演をさせて頂き,有意義なコメントを頂くことができました.
2日目の午前中は精度保証付き数値計算法の応用例に関する講演がいくつか御座いました.特にHoffmann先生はHyperbolic 3-manfifoldに関する定理の証明中に非線形方程式の精度保証付き数値計算法を利用する講演をして下さいました.多様体に関する内容は私の勉強不足のため理解は困難でしたが,精度保証付き数値計算法の技術を磨く講演ではなく,精度保証付き数値計算法の応用という新鮮な講演と共に,精度保証付き数値計算法の無限の可能性を感じる講演でもありました.また,午後には偏微分方程式の精度保証付き数値計算法に関する講演が多数あり,この分野の先駆者である中尾先生やPlum先生の御講演を聴講することができました.特に中尾先生は楕円型偏微分方程式の精度保証付き数値計算法の開発秘話から最新の放物型偏微分方程式の精度保証付き数値計算法まで御講演して下さり,我々若手の”良い刺激”になりました.
3日目は機械四則演算の事前誤差解析の講演や連立一次方程式の精度保証付き数値計算法に関する講演が多くありました.印象的だったのは午前中のセッションが終わったあとのランチミーティングの時間です.ランチミーティングの時間には何人かの先生がホワイトボードの前に集まり,リラックスした状況下で午前中のセッションの内容について検討をされておりました.このような環境づくりも主催者の先生の配慮の賜物だと思います.
余談ではありますが,3日目の夜にはExcursionとして東京見学が開催されました.ルートはバスで秋葉原,浅草と通過しつつ東京スカイツリー周辺の観光を致しました.夕食には「屋形船」でお好み焼きともんじゃ焼きの食べ飲み放題を頂きました.特に屋形船に揺られながら飲食は普段と違った趣きがあり,また外人の先生にも”ウケ”がよく,楽しいひと時を過ごすことができました.
最後になりますが,長藤先生が会議の締めの挨拶で話されていた「INVA2014@Tokyoは大石進一先生のホスピタリティが溢れる会議だった」というお言葉をお借りして締めさせて頂きたいと思います.