学術会合報告
SCAN’2012参加報告
2013年06月25日
岡山 友昭,森倉 悠介
おかやま ともあき,もりくら ゆうすけ
一橋大学大学院 経済学研究科,早稲田大学大学院 基幹理工学研究科
2012年9月23日から9月29日まで,ロシア・ノヴォシビルスク州のアカデムゴロドクにて,精度保証つき数値計算に関する国際会議SCAN’2012 (15’th GAMM-IMACS International Symposium on Scientific Computing, Computer Arithmetic and Verified Numerical Computations)が開催された.近年は隔年で開催されており,今年で15回目となる.日本からロシアへは渡航の際にビザが必要であり,そのため招聘状を取得してロシア大使館に足を運ぶという珍しい経験をした.アカデムゴロドク(ロシア語で「アカデミーの町」という意味)は1950年代にソ連科学アカデミーによって建設された計画都市で,筑波研究学園都市のモデルになったと言われている.街を歩いていると確かに筑波と雰囲気がよく似ており,また治安も良く,安心して過ごすことができた.空港からのアクセスは,公共交通機関の情報が事前にあまり手に入らなかったこともあり,多くの参加者はタクシーを使ったようである.
講演会場は,plenary sessionが含まれる月・水・金曜日はDom Uchenykh(科学者のための文化センター)で,一般講演のみの火・木曜日はInstitute of Computational Technologiesと,一日おきの交代であったため,アカデムゴロドク内の様子を知るいい機会であった.9月も終わりに差し掛かっていたため,気候は既に肌寒く,時折降るみぞれからシベリアの厳しさを感じることができた.
精度保証付き数値計算に関する国際会議は珍しく,どの講演も大変興味深いものばかりであり,並列セッションであったことが悔やまれた.その中で,著者(森倉)にとって特に印象深かったのが,Behnam HashemiさんによるRiccati方程式の精度保証付き数値計算法であった.対称性を仮定することで,計算量を減少させるというテーマであった.行列方程式の高速な解法に対して大変興味があったため,現在でも発表時のスライドを拝見させて頂いている.興味深い講演が続く一方,トラブルがあったのかテレビ電話会議システムを用いて遠隔地から発表した講演者がいた.そういうこともできるのかと思う一方,それでよいのだろうかという疑問も感じた.今回の会議においては,著者(森倉)にも招聘状が届かず,急遽観光ビザを取得した経緯があったため,トラブル時の対応について考えさせられるものがあった.
Welcome partyは,ロシアのイメージにあう厳格な雰囲気で始まったが,舞台上での地元のグループによる生演奏が始まると,音楽に合わせてロシア人の方達が踊り始め,大変にぎやかな様子であった.また,テーブル毎にウォッカが用意されていたため,高いアルコール度数ながら,本場の刺激を舌に喉にと感じることが出来た.写真が http://conf.nsc.ru/scan2012/scan2012_35 で公開されており,開催時の雰囲気を味わうことができる.掲載写真はWelcome partyの様子である.左が音楽に合わせて踊るロシア人の参加者達,右の写真の挨拶をしている方がオーガナイザーのSergey P. Shary教授である.
最後になったが,不慣れで色々とまどっていた我々参加者に対して,オーガナイザーのSergey P. Shary教授は滞在前・中・後を通して非常に親切にサポートしてくださった.この場を借りてお礼を申し上げたい.