学術会合報告

The 9th AIMS Conference on Dynamical Systems, Differential Equations and Applications ~初めての国際会議講演を終えて~

2013年01月27日

石田 祥子

いしだ さちこ

東京理科大学 理学研究科

2012年7月1日~5日 にアメリカ・フロリダ州オーランドにてAIMSの第9回国際研究集会 “Dynamical Systems, Differential Equations and Applications” が開催された. 本会議は, 参加人数が約1200人 (うち日本人は82人)で, 9つのPlenary Lectures, 75のSpecial Sessionと10のContributed Sessionから成る大規模な国際会議である. 初参加である私はその規模の大きさに圧倒された5日間であった.

まず, 会場の雰囲気から紹介したいと思う. 率直な感想は “広い!!大きい!!!!” である. 会場は有名4ツ星ホテルで, Plenary Speakersのためのメインホールが1つと各セッションのために25の小会議室が用意され, Poster Sessionのスペースもあった. また, 昼食のために丸テーブルが会場内とテラスにたくさん置かれており, 会議の休憩中には多くの研究者が数学の議論に花をさかせていた. 私もこの丸テーブルで, 指導教官である横田智巳先生 (東京理科大学)とメールでの交流があったMichael Winkler先生 (Paderborn大学, ドイツ)と約1時間の研究打ち合わせを行い, 次の課題研究解決のための筋道を見つけることができた.

次に私自身の講演について報告していきたい. 今回, 私は2つのセッションで講演の機会をいただいた. 1つはJann-Long Chern先生 (Central大学, 台湾), 山田義雄先生 (早稲田大学), 四ツ谷晶二先生 (龍谷大学)によるセッション(SS38)である. このセッションでは1次元における準線形退化型Keller-Segel系の時間大域的弱解の存在について講演した. 会議室には日ごろお世話になっている先生方も多くいらっしゃっていたが, “初!海外講演” ということもあり講演中は緊張して脚がガクガクと震えていた. その状況が見える位置に座っていらした先生方からはニコニコとした笑顔を向けられていたことを記憶している. なんとか30分の講演を乗り切った後にはオーガナイザーの3人の先生方からあたたかい声をかけていただいた. もうひとつはThomas Hillen先生 (Alberta大学, カナダ)とMichel Winkler先生によるセッション(SS61)である. このセッションは私が研究しているKeller-Segel系に特化したセッションであり, 論文でよく引用させてもらっている多くの先生方が講演していらした. みなさん顔見知りらしく, 講演中にも質問が飛び交うような活発なセッションだった. ここでは私は多次元におけるKeller-Segel系が大域的弱解をもつための初期値の仮定に関する報告をした. どちらの講演後にも研究に関するいくつかの質問をいただき, 精密な計算を行うことや適切性の議論・関連した方程式の研究など, もっと勉強をしていなかなければ, と強く感じた.

まとめとして今回AIMSに参加したことは, 初めての海外講演を含め多くのことを経験でき, 海外の研究者をはじめとした普段会えない先生方から研究についてアドバイスをいただけ, 私にとって大変有意義であった. 次回のAIMS国際研究集会は2014年7月7日~11日にスペイン・マドリードで開催されることも告知しておく.

最後に, 講演の機会を与えてくださった山田義雄先生とMichael Winkler先生にこの場を通してお礼申し上げたい.