学術会合報告
「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会 第33回単独研究会(SWoPP2022連携)参加報告
2023年02月08日
深谷 猛
ふかや たけし
北海道大学
2022年7月28日、日本応用数理学会「行列・固有値問題の解法とその応用」研究部会(通称:MEPA)の第33回単独研究会が開催されました。私はMEPAの幹事として、本研究会の開催に携わりましたので、運営側の視点を含めてご報告します。
例年、夏の時期の単独研究会は、「並列/分散/協調処理に関するサマー・ワークショップ(SWoPP)」と連携して開催しており、今年度もSWoPP2022の一部として開催しました。SWoPP2022は、7月27日から29日にかけて、下関市(海峡メッセ下関)とオンラインのハイブリッド形式で開催され、MEPAの他に7つの学会・研究会が参画しました。詳細についてはHP(https://sites.google.com/site/swoppweb/swopp2022)をご参照ください。
SWoPP2022は、約1年前から下関市での現地開催を含むハイブリッド形式を想定して準備が進められ、当初の予定通り大きなトラブルなくハイブリッド形式で開催されました。SWoPP2022全体で、現地参加登録者241人、オンライン参加登録者209人でした。私は、MEPAに加えxSIGとHPC研究会を中心に3日間参加しましたが、会場の椅子は概ね埋まっており、参加者のマスクを除いてコロナ禍以前と大差ない印象を受けました。
今回、MEPAを含む各研究会は全てハイブリッド形式で実施されました。Zoomによるオンラインミーティングを併用する形式で、現地会場の無線LANとSWoPP実行委員会が部屋ごとに用意した機材(PC用のマイク・スピーカー等)を利用しました。そのため、研究会担当者として私が準備したものは、Zoomホストと現地進行役用ノートPC1台のみでした。
MEPAの研究会は9件の講演(1講演30分で3件×3セッション)で、現地発表4件、オンライン発表5件でした。現地参加登録者は21人で、実際は15人程度が参加、オンライン参加登録者は44人で、実際は35人程度が参加、という状況でした。現地で使用したマイク・スピーカーの調子が若干悪く、多少のトラブルはありましたが、現地とオンラインの間で活発な質疑応答が行われるなど、大きな問題なく終えることができました。
本来は発表内容について報告すべきでありますが、今回はMEPA初のハイブリッド形式の研究会であったので、それに対する私の感想を述べたいと思います。個人的な印象ですが、過去のSWoPPでの研究会の発表者・参加者は、SWoPPの他の分野(例:HPC)と関わりの深い人が多く、少なからず偏りがあったと思います。しかし、今回はオンラインで発表・参加が可能となり、発表者・参加者の層が広がった印象があります。実際、過去は追加の発表募集を行うことが多かったのですが、今回は、当初の期日までに予定していた枠が全て埋まりました。また、当日は現地とオンラインの区別なく、活発な議論が行われ、応用数理学会にあまり馴染みのないSWoPP参加者に対して、MEPAの活動をより知ってもらうよい機会にもなったと思います。一方で、私が参加した他の研究会では現地の音響に関するトラブルもあったようで、MEPAが問題なく開催できたのは、比較的小規模であったことも幸いしたと思います(会場の音響機材とオンライン用の音響を両立するのは容易ではない)。また、今回は、現地設備の確認や機材の用意をほぼ全てSWoPP実行委員会が実施しており、これを自分たちで全て実施するのは必ずしも簡単ではないと思いました。
最後になりますが、今回のSWoPPでは参加者を制限するなどの感染対策を施した上で懇親会も開催されました。約2年間、モニタ越しのみで話をしていた多くの方と直接話をすることができたのは大変貴重な機会でした。また、懇親会では、2021年10月に不慮の交通事故でご逝去された中島浩先生に対する情報処理学会顕功賞の贈呈式が行われました。私が共同研究で中島先生に直前までお世話になっていたご縁もあるので、この場を借りてご報告させていただきます。
今回のSWoPP2022の開催に際しては、実行委員長の小林諒平先生(筑波大)をはじめとする実行委員の皆様の多大なご尽力がありました。深く御礼申し上げます。また、MEPAの研究会に関して、幹事・運営委員・発表者・参加者の皆様のご協力に感謝いたします。特に、現地参加者の方には、会場の準備・片づけにご協力いただき、誠にありがとうございました。
来年度のSWoPPもハイブリッド形式での開催を念頭において準備が進んでいます。開催地に関しては、前回の相原先生に習い、「イカ・五角形」というヒントを挙げる形とします。次回のSWoPPも盛況となることを祈念しまして、本報告を終えたいと思います。