学術会合報告
日本応用数理学会 第19回 研究部会連合発表会 開催報告
2023年06月29日
榊原 航也
さかきばら こおや
金沢大学理工研究域数物科学系
2023年3月8~10日の3日間にかけて,環瀬戸内研究部会が主体となって,第19回研究部会連合発表会(以下,連合発表会)を岡山理科大学岡山キャンパスで開催しました.本稿では,その開催報告をいたします.特に,今回の連合発表会は,今までにない試みを多く行うことになり,実行委員会として試行錯誤の日々が続いたので,その点について述べていきます.
まず1つ目の大きな変更点は,今回から連合発表会の期間が3日間となったことです.前回までですと,2日間で連合発表会は終わっていました.しかしながら,年々研究部会の数が増え,本稿を執筆中の現在は23部会あります.これらをパラレルセッションで開催しようとすると7パラレルほど必要になりますが,どうしても似た分野のセッションが重複したり,時間が非常にタイトになる等,2日間ではかなり苦しい運営を迫られることになっていました.そこで,今回から試しに3日間に期間を延ばせないかとご相談いただき,実行委員会内で議論した結果として,今回の日程になりました.結果として,3日間開催としたことは,プログラムを作成する上で大変助かりました.実際,各研究部会からプログラムを作成する上での要望をうかがいますが,今回は(おそらく初めて?)すべての研究部会の要望を叶えることができました.また,3日間にすることで時間にもゆとりができ,セッション間の休憩時間を30分確保することができました.これは,運営面のみならず,参加者同士が議論をじっくりとできる等,非常に良い影響を与えてくれました.
2つ目の大きな変更点は,開催形態を「ハイブリッド」としたことです.北海道大学で開催された2022年度年会から対面に戻る予定でしたが,COVID-19の影響に鑑みて急遽セミ・ハイブリッド形式で開催されることになり,多くの参加者の方が困惑されたことと思います.2023年3月の時点でどのような状況になるか見通しを立てるのは難しいと考え,運営側としては仕事が2倍以上に増えることになるのは覚悟の上で,ハイブリッド開催とすることに決定しました.ハイブリッド開催でしたら,各人の意思によって現地会場に出張するか否かを決定することができ,また,直前での開催形式の変更もなくなり,参加される方にとって,デメリットはほとんどなかったのではないかと思います.さて,ハイブリッド開催することに決定したのはいいものの,実際にどのように運営するのかを決定するまでにはかなり知恵を絞ることになりました.ハイブリッド開催ということは講演者も現地とオンラインとが入り混じることになります.現地参加者はスクリーン上にスライドを投影する必要もあり,かつZoom上でスライドを共有することになるため,どのようにしたらスムーズに切り替えができるかを考える必要があります.また,音声の問題もあり,オンライン参加者の声を会場で聞くことができ,かつ,会場の講演者,座長,質問者の声をオンライン上に配信しつつもハウリング等が起きないようにしなければなりません.叩き台が何もない状況からこれらの問題点を解消するアルゴリズムを構築する必要がありましたが,実際には,オンライン用のマイクを用い,また,セッションホストの画面をHDMI接続でスクリーンに投影することで,音声問題も共に一気に解決することができました.これは,普段からハイブリッド形式でセミナー運営を行っていた経験が大いに活きた結果です.
以上で連合発表会の準備は整いましたが,あとは当日の運営をどのようにするかが問題となります.パラレルセッションの数は5つとなり,各会場でZoomをコントロールしながら不測の事態に対応する必要がありますが,そのために岡山理科大学理学部応用数学科の学部生と大学院生を合わせて13名雇用しました.もちろん,予期せぬトラブルが発生した時に学生だけでは対応が難しいですが,その場合はどんな些細なことでもすぐに連絡をしてもらい,実行委員が会場に駆けつける体制を取りました.実際,3日間で大小様々なトラブルが発生しましたが,すぐに連絡を取る体制を確立し,かつ,学生が言われたことだけでなく自ら考えて先を見据えた行動をとってくれたおかげで,なんとか無事に終えることができました.今回の連合発表会は,彼ら・彼女らの献身的な活躍なしには無事に終えられなかったと思います.
初めてのことだらけの連合発表会となりましたが,おかげさまで参加者は全部で472名(現地参加:302名,オンライン:170名)となり,過去最大規模の連合発表会となりました.次回の連合発表会は2024年3月4日〜6日に長岡技術科学大学で開催される予定です.次の連合発表会がより盛会となることを祈念し,本稿を締めたいと思います.